バーチャル・リアリティ(仮想現実)とは?
バーチャル・リアリティ(Virtual Reality:以下VR)は「仮想現実」といわれ、「利用者が完全にコンピューターで生成された環境に没入する」※ことができます。コンピューターによって創り出された仮想的な空間を、VRゴーグルなどを着けることで現実であるかのように疑似体験できる仕組みとなっています。
視覚や音などの感覚的な刺激を通じて体感することができ、映画やゲームなどエンターテインメントの分野でますます人気が高まっている技術です。
例えば、遊園地やテーマパークにはVRゴーグルを装着して体験することができるアトラクションが増えており、また映画館や自宅のテレビゲームでも、VRゴーグルを着ければVR映画、VRゲームとして仮想空間を体験できるようになるなど身近なものになってきています。
医療分野でのVR利用については、3次元画像(立体感のある画像)を表示できるという特徴があるため、医学教育や手術支援などの応用までさまざまな形で行われています。
一方で、VRゴーグルについては、外界との視界が遮断されてしまうため“VR酔い”などの問題があることや、ゴーグル自体の重さや装着感などからも長く使用すると身体的疲労を伴うことから、今後は機器の改善などが期待されます。
※Dieter Schmalstieg,Tobias Hollerer:Augmented Reality-Principles and Practice, Addison-Wesley, 2016.
オーグメンティド・リアリティ(拡張現実)とは?
オーグメンティド・リアリティ(Au-gmented Reality:以下AR)は「拡張現実」といわれ、現実世界にデジタル情報を重ね合わせて表示する技術です。スマートフォンの画面などを通じて、実際の風景にコンピュータグラフィックス(CG)などで創られた仮想物体を反映させ、あたかも現実世界に存在するかのように表示することができます。
近年では、ARを用いたスマートフォンのゲームアプリなどエンターテインメント領域で発展してきた技術で有名となりました。ほかにも工業・建築の分野では、CGによって創られた仮想の製品や建築物を現実空間に表示することができるようになっています。
また自動車産業の分野においても、自動車後方のカメラ映像を用いた駐車支援システムが一般的となってきました。スマートフォンのGoogle翻訳のカメラを用いた翻訳システムもARの技術が用いられています(図1)。
医療分野においてもさまざまなインターフェース1を用いてARの技術が使用され始めました。VRは「仮想空間」に完全に入り込みますが、ARは「現実空間」の中に仮想情報を重ねて表示するという大きな違いがあり、実際に手術支援として利用されています。図に示したのは手術顕微鏡のディスプレーを通して術前に計画した仮想画像を術野(手術を行っている、目に見える部分)に表示する技術になります(図2)。
- インターフェース/異なる機器やシステムをつなぐ規格や機能 ↩︎