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脳神経外科・てんかんセンター

ロボット支援手術で脳に電極や針を正確に入れる

この記事の内容

てんかんや脳腫瘍などの脳の病気について

てんかんは脳神経細胞が興奮することによって、突然意識がなくなったり、手足が痙攣(けいれん)したりするてんかん発作を繰り返す脳の病気です。抗てんかん発作薬による適切な薬物治療を行うことによって70%の方がてんかん発作を抑制することができますが、残り30%の方は薬物治療のみでは発作が抑えきれない薬剤抵抗性てんかんとなります。

薬剤で抑えきれない場合には、手術によって発作を抑制、または緩和することができますが、てんかんの原因となっている焦点が脳のどこにあるか詳しく調べる必要があります。てんかん焦点がどこにあるかを確認する方法として、細い電極を脳内へ複数本留置する定位的頭蓋内脳波植込術(ていいてきずがいないのうはうえこみじゅつ)(SEEG)という手術があります。

脳腫瘍(のうしゅよう)に対しては病変を取り除く摘出術と化学療法や放射線治療がありますが、その治療方針を決めるために腫瘍の一部を採取する生検術(せいけんじゅつ)を行うことがあります。

ロボット支援による脳神経外科の最先端手術

ロボティックシステム(Stealth Au-toguide)を用いることによって(図1)、てんかんの原因となっている焦点を明らかにするために行う定位的頭蓋内脳波植込術(SEEG)や、脳腫瘍のごく一部だけを採取することを目的とする生検術を、より安全で正確に行うことが可能になります。

図1 ロボティックシステム

手術を実施する前に撮影したCTやMRI画像をもとに手術計画を立てます。車の運転をサポートするカーナビゲーションのように、ナビゲーションシステムと連動することで、細い電極や脳腫瘍の一部を採取するための細い針を脳内へ正確に入れることが可能です。

脳には多くの血管があり、それらを傷つけないように、手術前から電極や針が通るルートに血管がないことを確認して、手術計画を立てます(図2)。

図2 脳の血管を避けた電極の留置場所を計画する

 (写真)は実際の手術風景です。また、これまでより非常に細いドリルを用いて頭の骨に穴を開けるため、皮膚の切開もこれまでよりも小さく済み、患者さんの負担も軽くなります。

写真 実際の手術風景

執筆者

脳神経外科・てんかんセンター 特任講師 多田 恵曜

※執筆者の所属・役職は書籍発刊時(2024年3月)のものです。

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