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産科婦人科

回復が早く美容面にも優れたロボット支援手術

この記事の内容

婦人科良性疾患、骨盤臓器脱、早期子宮体がんに対するロボット支援手術

日本では2023年現在、保険診療として子宮筋腫(しきゅうきんしゅ)・子宮腺筋症(しきゅうせんきんしょう)などの婦人科良性疾患に対するロボット支援下(しえんか)子宮全摘術、子宮や膀胱などが下垂する骨盤臓器脱(こつばんぞうきだつ)に対するロボット支援下仙骨腟固定術(せんこつちつこていじゅつ)、早期子宮体がんに対するロボット支援下子宮悪性腫瘍手術を行うことが認められています。当科では、適応の基準を満たす患者さんに対して、これらのすべての手術を行うことが可能です。

当科ではこれまで、婦人科良性疾患に対する腹腔鏡下子宮全摘術(ふくくうきょうかしきゅうぜんてきじゅつ)、骨盤臓器脱に対する腹腔鏡下仙骨腟固定術(ふくくうきょうかせんこつちつこていじゅつ)など、女性特有の病気に対して体への負担が少ない腹腔鏡手術を積極的に取り入れてきました。

ロボット支援手術では、3Dイメージの拡大視野で操作でき、鉗子(かんし)(組織などを挟む手術器具)に関節があり細かい操作が可能です。そのため、腹腔鏡手術では難しい骨盤の狭い部分で手術操作を要する場合、例えば仙骨膣固定術や高度の癒着(ゆちゃく)や肥満のある患者さんの手術に適しているといえます。当科では2021年よりロボット支援手術を開始し、2023年時点で約110件行いましたが、大きな合併症はなく安全に実施できています(写真)。

写真 婦人科疾患に対するロボット支援手術

婦人科領域におけるロボット支援手術のメリット

ロボット支援手術では、お臍(へそ)を中心に腹部に計5個の小さい穴(8〜12mm)を開けて、専用の鉗子を入れます(図)。鉗子はロボットのアーム(腕)とつながっています。このロボットアームは、術者がコンソールと呼ばれる場所に座って操作します。これまでの開腹手術のように、お腹(なか)を大きく切る必要がないため、美容面で優れていること、患者さんの体への負担が少なく回復が早いことが特徴です。

図 手術創(手術のあと)

特に婦人科の領域では、大きな子宮筋腫やひどい癒着がある場合、高度肥満など骨盤内の狭いスペースでの操作が必要な手術においては、より安全に正確に行えるというメリットがあります。

執筆者

産科婦人科 総務医長・講師 吉田 加奈子

※執筆者の所属・役職は書籍発刊時(2024年3月)のものです。

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