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ゲノム医療センター

ゲノム情報を活用した将来の医療

この記事の内容

ゲノム医療の進歩

近年、ゲノム医療の進歩は著しく、腫瘍(しゅよう)や難病、周産期(出産前後の期間)・生殖分野などさまざまな領域で診断や治療に活用され始めています。

ゲノムというと難しいイメージを持つ方も多いかもしれませんが、ゲノム情報の個人差は「体質」と言い換えることもでき、現在ではケガや事故などの外傷を除いて、ほとんどの病気にこの「体質」がかかわっていることが分かっています。

ゲノム情報はとても膨大なので、それを解析して正確に評価するためには高度の専門的な知識が必要です。一方で、この膨大な情報をうまく医療に活用できれば多くのメリットが生じることも分かってきています。

ゲノム医療というのは、遺伝性疾患(遺伝する病気)だけでなく、がんや生活習慣病といったよく知られた病気にもゲノム情報を活用して、それぞれの患者さんに最適な選択肢を提供するこれからの医療です(図1)。

2023年6月16日には「ゲノム医療法」という法律が公布・施行され、今まさに国を挙げてこの新しい医療を普及しようとしています。

図1 ゲノム医療とは

ゲノム医療に対する当院の取り組み

当院では、全国に先駆けて1999年10月に国のモデル事業(全国に3か所)として遺伝相談室が開設されました。その後、2016年4月に臨床遺伝診療部と改称され、さらに2022年12月には遺伝カウンセリング部門にゲノム解析部門、データ管理部門を加えた3部門体制が整えられ、ゲノム医療センターに改められました。

現在では年間460件以上の遺伝カウンセリングを行っており(図2)、対象も先天異常や神経の病気、耳鼻科の病気、整形外科の病気、遺伝性疾患の発症前・出生前の遺伝学的検査などさまざまです。さらに、明確な遺伝をしない病気や発症していない方も対象にしています。

図2 遺伝カウンセリング件数の推移

これらの方々に正確な医学的知識を伝え、必要な検査や治療を提供する先進的な医療を行っています。ゲノム医療は急速に進歩している分野であり、今後もさらなる機能強化に努めていきます。

執筆者

ゲノム医療センター センター長・教授 森野 豊之

※執筆者の所属・役職は書籍発刊時(2024年3月)のものです。

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