4K3D外視鏡手術とは
4K3D外視鏡手術(がいしきょうしゅじゅつ)は体の外に設置した小型カメラで撮影した高精細な画像を、55インチの大画面モニターに映し、医師は3Dメガネを着けてモニターを見ながら手技を行う新しいコンセプトの手術です。レンズやカメラなどが小型高性能化し、3D画像技術が発達したため可能になりました。
外視鏡手術はモニターを見ながら頭を上げて手術操作を行うため、外科医の姿勢の負担が軽減されます。小さなカメラは観察方向や角度を自由に調整でき、手術を行う部位が水平方向や見上げる方向であっても、医師は常にモニターを見るため頭の位置や姿勢を変える必要がありません。同時に患者さんも首に負担のない姿勢を取ることができます。外科医の姿勢負担と疲労の軽減は、より繊細で正確な手術につながるものです。
当科ではいち早く4K3D外視鏡を導入し、これまで顕微鏡や肉眼で行っていた手術に対し、積極的に外視鏡を用いて、より緻密な手術を行っています(写真1)。また4K3D大画面モニターにより外科医だけでなく手術室のスタッフ全員が手術情報を共有できるため、安全性の向上に寄与しています。
さらにNarrow Band Imaging(NBI)、Infra-Red、Blue Lightなどの特殊光観察機能が備わっているため、人の目では認識できない情報を外視鏡から得ることができ、より安全で確実な手術を行えるようになりました。
より患者さんの体にやさしい内視鏡手術
当科では咽喉頭(いんこうとう)がんに対して、患者さんの体にやさしい経口腔的内視鏡下咽喉頭手術(けいこうくうてきないしきょうかいんこうとうしゅじゅつ)を行っています(写真2)。近年の内視鏡の進歩により、早期に咽喉頭がんを診断し治療することが可能となりました。特にNBIを用いることで、立体的で複雑な構造のため診断が難しかった咽喉頭部のわずかな病変を早期に発見し、首の皮膚を切開することなく内視鏡手術で切除できます。
また、耳科手術でも体にやさしい内視鏡下耳科手術(ないしきょうかじかしゅじゅつ)を行っています。以前は耳の後ろを切開し、骨を削って鼓膜(こまく)の奥の手術を行っていましたが、内視鏡手術により耳の後ろを切らずに耳の穴から鼓膜の奥の手術を行うことができるようになりました。そのため、手術後の痛みの軽減や、入院期間の短縮につながっています。