超低温にして凍らせて治す凍結治療とは?
凍結療法とは、皮膚から 1.5mmほどの細い針を刺し、針を超低温にし、 凍結して腫瘍(しゅよう)を破壊する治療法です。
転移した骨の腫瘍、肺がん、肝臓がん、乳がん、前立腺がん、良性の骨や血管の病気に対して効果が報告されています。現在保険が使用でき、当院で行われている腎臓の悪性腫瘍について紹介します。
凍結療法が行われるのは、4cm以下の小さな腫瘍で、発生場所によっては治療が難しい場合もあります。腎臓の機能が悪い、遺伝性の病気などで複数または両側に腎腫瘍がある、腎臓が片方しかないといった方が対象となります。
CTで腫瘍の位置を確認しながら、背中の皮膚から針を入れ、専用の機械で凍結します。1本の針で凍結できる範囲は決まっており、腫瘍の大きさにより複数の針を使用します(図)。通常、所要時間は1時間半から2時間程度です。
この治療は局所麻酔で行い、意識のある状態ですが、痛みを感じることはほとんどありません。他の病気の治療中、高齢などの理由で手術が難しい方も受けられる、体にやさしく負担の少ない治療です。腎臓の機能が保てること、手術時間や入院期間が短いことも長所です。治療後は軽い発熱や血尿がみられますが、ほとんどの方が1週間以内で退院しています。重い合併症は、経験豊富な施設で行えばほとんどありません。
熱を加えて焼いて治すラジオ波焼灼療法とは?
ラジオ波焼灼療法(はしょうしゃくりょうほう)は腫瘍の中に電極という直径1.5~2mmの針を挿入し、腫瘍の内部にラジオ波を発生させ、熱で病変を焼く治療法です(写真)。肝臓の治療に用いられてきましたが、2021年12月に腎臓や骨などほかの臓器にも保険が使えるようになりました。
前述した腎腫瘍の治療のほかには、骨やその周りの組織にできた悪性腫瘍や類骨骨腫(るいこつこつしゅ)という良性の腫瘍による痛みの治療(ただし、 放射線治療や手術などの標準治療が困難または効果が不十分な方)を当院では対象としています。針を刺す手順や体への負担、手術時間や入院期間は凍結療法と似ています。痛みに対する治療効果は終了直後から期待できます。
これらの治療は基本的に局所麻酔で行いますが、薬剤を適切に使用し、痛みや不安の軽減に努めています。
泌尿器科、整形外科など複数の科の先生方と協力して適切に治療できるよう、連携して診療しています。まずは、かかりつけ医や主治医に相談してみてください。