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歯周病科

進行した歯周病を治す最新の歯周再生治療

この記事の内容

最新医療機器を使った手術技術が進歩

歯周病は、歯の周囲を支える歯肉や歯槽骨(しそうこつ)などの歯周組織が、歯周病原細菌(ししゅうびょうげんさいきん)によって引き起こされた炎症によって破壊される病気です。

歯周病は日本人が歯を失う一番の原因であり、厚生労働省の令和4年度歯科疾患実態調査によると、中高年で進行した歯周病がある人の割合は50%を超えていると報告されています。また、10~30歳代の若い年齢で歯周病が進行している患者さん(侵襲性歯周炎(しんしゅうせいししゅうえん))もいます。

一昔前には、歯周病で骨が破壊されてしまうと、残念ながら抜歯となっていました。しかし近年、再生医薬品や医療材料、歯科用マイクロスコープ(歯科用顕微鏡)やレーザーなどの最新医療機器を使った手術技術の進歩によって、歯周組織を健康な状態に近づけられるようになり、歯を残すことが可能になってきました。

歯科用マイクロスコープを使った精密な治療

歯周病の治療は、歯周組織の検査を行った後に、ブラッシング指導から始まり、基本治療として、歯根面(しこんめん)に付いている歯垢(しこう)や歯石(しせき)を取り除きます。軽度の歯周病であれば、これらの治療で症状の改善がみられます。

しかし、歯周ポケット(歯と歯茎の溝)が深くなり、中等度から重度に骨が溶けている場合は、基本治療では改善しにくく、歯周外科治療が必要な場合があります。当科では、歯周外科治療を行う際は、歯科用マイクロスコープ(写真1)による高倍率での観察を行い、骨欠損(こつけっそん)(骨が欠けた状態)のある患部のみをマイクロサージェリー用メスで小さく切開し、歯根に付いた歯石やダメージを受けた組織を細かいところまで取り除く治療を行っています。

写真1 歯科用マイクロスコープによる高精度な手術

また、体の負担の少ない手術を行うために当科では、歯周外科治療を行う際に、従来の器具(スケーラーやグレーシーキュレット)に加えてEr.YAGレーザーも使用しています(写真2)。さらに、骨の欠けた部分には日本で開発された歯周組織再生医薬品「リグロス®」や「骨補填材(こつ ほてんざい)」を使うことで良好な効果を得ており、直近の5年間で約250症例の再生治療を行ってきています。

写真2 Er.YAGレーザー併用による体の負担の少ない手術

執筆者

歯周病科 外来医長・助教 二宮 雅美
歯周病科 診療科長・教授 湯本 浩通

※執筆者の所属・役職は書籍発刊時(2024年3月)のものです。

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