フレイル・ロコモ・サルコペニアは治療できる?
フレイル・ロコモ・サルコペニアはそれぞれ関係しています。これらの状態にある患者さんは加齢により増加し、骨折や筋力低下などで要介護状態になりやすく、さらに進行すると死亡リスクも上昇します。進行させないためには、栄養状態の改善指導や運動機能の維持・改善を目的としたリハビリなどが行われますが、内科的なケアや治療によっても進行防止や改善が見込める場合があります。
例えば、多くの薬を飲んでいる方の処方の見直しや、併存する糖尿病などの生活習慣病の治療は、フレイル・ロコモ・サルコペニアの進行を抑えるのに有効であると考えられています。さらに、ロコモの原因となる骨粗(こつそ)しょう症(しょう)に対する薬物治療は、骨折リスクを減少させるとともに、患者さんのQOL(生活の質)も改善できることが示されています。
生活習慣病とフレイル・ロコモ・サルコペニア
ロコモの原因となる骨粗しょう症やサルコペニア、そしてフレイルを構成する認知機能の低下は、糖尿病、動脈硬化性疾患、慢性腎臓病などの生活習慣病と密接に結びつき、それぞれ互いの病気の悪化に関係しています(図1)。
例えば、糖尿病でみられる振れ幅の大きい血糖の変動は、認知機能の低下、骨格筋量減少と筋力低下(=サルコペニア)や転倒骨折のリスクとなります。また、糖尿病治療薬の中には骨格筋量の減少や骨折リスクの上昇に関係するものがあります。認知機能の低下があると薬を飲む習慣が乱れ、血糖コントロールや骨粗しょう症の治療に悪影響がみられることもあります。
さらに、骨粗しょう症骨折や認知機能低下があると、身体機能の低下や骨格筋量の減少につながり、これらは糖尿病のコントロール悪化とさらなる骨折リスク上昇をもたらす可能性があります。高齢の方は(図1) にあるような病態を複数持っていることが多く、これらを総合的に診断し、治療することが重要です。当科は、糖尿病、動脈硬化性疾患、慢性腎臓病などを含む生活習慣病と骨粗しょう症の診療を専門とし、フレイル・ロコモ・サルコペニアの進行を抑えることにも力を入れています。