この記事の内容
国立大学病院で初となる試み
高齢者では、ロコモ(骨、筋肉、関節、神経などの“運動器”の障害により移動しづらくなった状態)から、フレイル(加齢による心身の活力低下)やサルコペニア(加齢による筋肉量の減少や筋力の低下)につながっていくと考えられています。そのため、高齢になっても元気でいるには、若い頃からの「ロコモの予防」がカギとなります。
ロコモの原因には、脊椎疾患、関節疾患、骨粗(こつそ)しょう症(しょう)などがあります。ロコモの予防には、運動療法が重要です。当院では運動療法の一つとして、体の使い方を学ぶピラティスに着目し、国立大学病院で初めてピラティスを導入しました。
当院におけるピラティスの強み
ピラティスでは、日常生活の中での体の使い方、コントロールの方法を学びます。例えば日常生活のさまざまな動作で、腰に負担がかかることがあります。高い所にある物を取ろうとした際、肩の動きが悪い患者さんの場合、代わりに腰をそらせて物を取ろうとします。このような動きを続けていると、腰に負担がかかり、腰痛の原因となってしまうことがあります。
そこで、なるべく腰に負担をかけないようにするために、できるだけ腰を動かさず安定化させたうえで、その他の部位(胸の背骨、胸郭、肩関節、股関節など)の動きを良くするようにします。このように、患者さん一人ひとりの動きの評価を行い、体の動かし方のどこを修正すれば良いのかを把握し、プログラムづくりをします。
退院後に自宅でも継続することができるようにマット上で行うピラティスエクササイズ(写真1)の指導から、機器を用いた動的な動きの中で行うピラティスエクササイズ(写真2)まで、仕事復帰やスポーツ復帰などの目標に向けて、一人ひとりに合ったオーダーメイドの運動療法を行っています。