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脳神経外科

Q19:脳卒中や脳腫瘍、機能的脳神経疾患の新しい治療

この記事の内容

脳卒中、脳腫瘍、機能的脳神経疾患などの治療

当科は、脳卒中、脳腫瘍(のうしゅよう)、頭部外傷、小児奇形、脊椎脊髄疾患(せきついせきずいしっかん)、機能的脳神経疾患(パーキンソン病、不随意(ふずいい)運動、三叉(さんさ)神経痛、顔面痙攣(けいれん)、てんかんなど)の疾患に対して外科手術や血管内治療、薬物などの手段を用いて治療、診療を行っています。年間の手術件数は500件を超え、新しい手術の方法を導入してあらゆる病気に対応しています。加えて、時代の先端をいく最新の医療を提供するために、他科と連携して放射線治療や化学療法(抗がん剤治療)などを合わせた治療を実施しています。

脳卒中にはどのような治療体制が効果的ですか?

脳卒中の治療は時間との勝負です。特に発症した直後の脳梗塞(のうこうそく)は、できるだけ早くカテーテルを用いた治療を行うことで、劇的に症状が改善する可能性があります。

しかしこの治療を行うことができる施設は当センターを含め、徳島県内では限られています。そこで、できるだけ広い地域から効率よく患者さんを搬送するシステムを、救急隊と協力して作り上げることが重要な課題でした。

現在当科では、スマートフォンを用いた病院前脳卒中スケール(図1)を導入し、当施設での治療が必要と考えられる患者さんが迅速に搬送されるよう取り組んでいます。

図1 病院前脳卒中スケール

具体的には、救急隊員が現場に到着した後、患者さんを診察し、病院前脳卒中スケールで評価します。そして4点以上であれば、当施設での治療が必要である可能性が高く、当院脳卒中センターへ搬送することを選択します。

同時に、スマートフォンを介して患者さんの情報が私たち医療関係者全員に送信され、病院に着いた後迅速に治療できるよう、準備して待機することができます。

脳腫瘍の治療には手術以外にどのようなものがありますか?

脳腫瘍に対する治療には、手術・放射線治療・化学療法(抗がん剤治療)があります。脳腫瘍の種類によってそれぞれを単独で行う場合と併用して行う場合とがあります。

放射線治療は、当院ではX線による放射線治療を行っています。そのほか、ガンマナイフやサイバーナイフ、陽子線治療などがあり、病気の状態に応じて方法を選択します。化学療法(抗がん剤治療)には、内服して行う方法と点滴で行う方法があります。病気の種類によっては血液内科や小児科の専門チームと協議しながら治療を行っていきます。

また当院では、脳腫瘍の中でも膠芽腫(こうがしゅ)に対して、前述の治療法以外にも「腫瘍治療電場療法(しゅようちりょうでんばりょうほう)」といい、腫瘍に対して特殊な電場を用いることで、腫瘍の増殖を抑える新たな治療法も可能です。

良性の脳腫瘍の場合には、大きさや症状の有無によっては手術を行わず、定期的に画像検査を行って経過観察を行っていく場合もあります。

パーキンソン病や不随意運動症の手術はどのような場合に行われますか?

パーキンソン病、ジストニア(無意識に筋肉がこわばってしまう不随意運動の一種)、振戦(しんせん)(ふるえ)などの機能的脳神経疾患では、いずれの場合においても内科的治療法が十分に行われたうえで、症状が残る場合や、薬の副作用に悩まされる場合などに手術が検討されます。

手術は効果が劇的なことも多いですが、患者さんの負担の大きな治療であるため、合併症のリスクと期待される治療効果とのバランスについてよく説明を受けたうえで、患者さん自身が選択することとなります。

てんかん発作が止まらない場合はどのようにすれば良いでしょうか?

抗てんかん発作薬を内服していても、てんかん発作が止まらない場合には、てんかんセンターで高度なてんかん診断として、ビデオ脳波モニタリング(図2)を受けることを検討したほうが良いでしょう。

図2 ビデオ脳波モニタリング

この検査を受けると、実はてんかん発作ではなかったと分かることもあるほか、思ったよりもてんかん発作が多かったということが分かる場合もあります。

また、てんかんに対する手術で発作が消えたり、発作が軽くなったり、減ったりする可能性もあります。

発作が続いてお困りの際には一度、てんかん専門医の意見を聞いてみることをおすすめします。

執筆者

脳神経外科 特任准教授 森垣 龍馬
脳神経外科 特任講師 多田 恵曜
脳神経外科 総務医長・講師 島田 健司
脳神経外科 講師 中島 公平

※執筆者の所属・役職は書籍発刊時(2024年3月)のものです。

脳神経外科の特徴

診療科長・教授 髙木 康志

※所属・役職は書籍発刊時(2024年3月)のものです。

特色

当科は、外科的手術以外に内視鏡やカテーテルを用いた低侵襲治療(体にやさしい治療)、薬物治療、リハビリテーションなど多種多様な治療手段を用いて診療を行っています。手術件数としては年間500件を超えており、地域の皆様のために、時代の先端をいく新しい医療を提供できるよう優秀なスタッフをそろえ、日々の研さんに努めています。

主な対象疾患

脳卒中、脳腫瘍、頭部外傷、小児奇形、脊椎脊髄疾患、機能的脳神経疾患(パーキンソン病、不随意運動、三叉神経痛、顔面痙攣、てんかんなど)など

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