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放射線診断科

Q25:進化する放射線診断〜多彩な技術と知識で診療の質向上に貢献

この記事の内容

放射線診断とは?

放射線による診断技術は、近年急速な進化を遂げており、診断できる病気の種類も飛躍的に広がっています。当科の特徴は、画像診断、核医学、IVRの各領域で最新の装置と技術を用いた診療を行っているだけでなく、患者さんの放射線被ばくや検査管理も含めて多角的、多様的に診療の質の向上と安全確保に努めている点があげられます。また、人工知能(AI)を利用した診断技術も早期に導入し、医療従事者の業務効率化と精度向上に取り組んでいます。

放射線診断科の役割にはどんなものがありますか?

放射線診断科の対象疾患は全身すべてにわたり、専門も大きく分けて、画像診断(CT、MRI検査やⅩ線診断)、超音波検査(エコー)など)、核医学(PETを含む)、IVR(画像下治療)に分かれます。

画像診断は体の中の状態をできるだけ苦痛なく探り当てるための診断法です。さまざまな画像診断法の中から患者さんに最も適した方法を選択し、苦痛のない正確で的確な診断をめざしています。

さらに、各診療科の画像検査や、IVRを行う全患者さんの情報が放射線診断科には集まることから、患者さんの診断や治療が的確・安全に行えているかをチェックするゲートキーパー的な役割も担っており、放射線診断科の質がその病院の診療や安全のレベルを支えているといえます。

それぞれの診断法について教えてください

【画像診断 】

Ⅹ線をはじめとしたさまざまなエネルギーが、先端的な画像診断や治療のために使われており、診断医はそれらのエネルギーの性質を熟知し、有効に活用ができる専門家です。

特に当院ではCT、MRI、核医学検査(PETを含む)といったデジタル画像に精通し、国際的にもその診療と研究は高い評価を受けています。

また、高度画像診断センターが設立され、地域医療における画像診断の向上にも貢献しています。

【核医学診断】

放射性同位元素と呼ばれる薬剤を用いて、脳、心臓、腎臓、肝臓、甲状腺などの機能、代謝などを検査し、撮影された画像の解析、診断を行います。

ブドウ糖の代謝を画像化するPET装置(PET-CT)のみならず、アルツハイマー病の原因となるアミロイドPETや脳腫瘍(のうしゅよう)などの診断に有用なメチオニンPETなど多様な検査が可能です。

【IVR】

動注化学療法(どうちゅうかがくりょうほう)、塞栓術(そくせんじゅつ)、生検など、血管造影による診断や治療を中心とした部門です。

IVRは局所麻酔で行うことができ、穿刺(せんし)(針を刺すこと)部位から挿入したカテーテルなどを画像で確認しながら目的の部位に誘導し、患者さんの負担が少ない状態で診断、治療を行うことができます。

特に当院では実施する施設が限られる凍結治療や、RF(高周波)治療などの最新技術も早期から導入し、体の負担の少ない中で高い治療効果を達成しています。

他科との連携はどうなっていますか?

放射線診断科では、病棟カンファレンス(検討会)や診断カンファレンス、リサーチカンファレンスを毎週開催し、科内での情報共有と診療の質の向上と維持を図っています(写真1)。

写真1 放射線診断科における症例カンファレンス

さらに放射線治療科との合同のカンファレンスや各科との合同カンファレンスを毎週行っており、各診療科間での意思疎通を円滑にして診療レベルの向上に寄与しています。

特に神経放射線カンファレンスでは、脳外科、脳神経内科、放射線科の三科でwebによるネットワークを利用したカンファレンスを実施し、画像やカルテ情報を共有しながら活発な意見交換を行っています。

当院放射線診断科では、最新のIVR-CT装置を用いて、各種のIVR治療を行っています(写真2)。

写真2 IVRの施行風景

通常3、4人の複数の医師と放射線技師が対応し、凍結療法や塞栓療法などの治療にあたっています。最近は依頼数が増加し県内でも有数の治療件数を誇っています。

徳島画像診断ネットワーク(TDInet)について

徳島画像診断ネットワーク(TDInet)は、徳島県の補助を受けた大学発のNPO法人として、地域における画像診断の読影補助や画像情報の共有を目的に設立されました。

運営を徳島大学放射線科が行っており、年間4,000症例程度のCT、MRI診断を行うとともに、各医療施設における画像共有についても「一般社団法人阿波あいネット1」と協力してサービスを提供しています。

  1. 一般社団法人阿波あいネット╱徳島県内を対象とする、医療・在宅・介護連携ネットワークの運営を担う組織 ↩︎

執筆者

放射線診断科 診療科長・教授 原田 雅史

※執筆者の所属・役職は書籍発刊時(2024年3月)のものです。

放射線診断科の特徴

診療科長・教授 原田 雅史

※所属・役職は書籍発刊時(2024年3月)のものです。

特色

MRIを用いた機能診断や代謝診断についてはきわめて高い臨床応用実績を有しており、MR spectorscopyやfunctional MRI、Diffusion Tensor Imaging、Arterial Spin Labelingなどの最新技術を早期から積極的に臨床応用し、診断精度の向上に寄与してきました。また核医学では、メチオニンPETやアミロイドPETを広く臨床応用しており、わが国トップレベルの検査数を誇っています。

主な対象疾患

すべての疾患に対応しています

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