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そしゃく科

Q30:歯の欠損〜専門的で革新的な入れ歯治療

この記事の内容

歯の欠損とは?

成人の歯は通常28本(親知らずを含まず)あり、何らかの原因でこれらの歯の一部あるいは全部を失ってしまった状態を歯の欠損といいます。生まれつき歯がない先天的なものから、事故などの外傷、むし歯や歯周病、歯が割れるような重度の歯ぎしりなどが欠損の主な原因です。

歯の欠損の中で義歯の対象となるのは、歯そのものが失われた欠損(歯列欠損(しれつけっそん))です。上下の顎(あご)それぞれの欠損部位や、欠損本数、かみ合わせなどで治療方法は変わります。

歯の欠損とは何ですか?

成人の歯は、親知らずを除いて通常28本あります。何らかの原因によって、これらの歯の一部あるいは全部を失ってしまった状態を、歯の欠損といいます。

歯の欠損は、生まれつき歯がない先天的なものから、事故などの外傷、むし歯や歯周病、歯が割れるような重度の歯ぎしりなどが原因になります。

歯の欠損の中で義歯の対象となるのは、歯そのものが失われた欠損(歯列欠損)です。上下の顎それぞれの欠損部位や、欠損本数、かみ合わせなどで治療方法は変わります。

歯の欠損とはどんな症状ですか?

歯の欠損を放置すると、前後の歯が倒れてかみ合わせがおかしくなる、食べ物が詰まりやすくなる、磨きにくくなってむし歯や歯周病が進むことでさらに歯が抜けて欠損が広がる、といった問題が生じます。

歯を失うと、食べられるものに限りができてきます。また、歯がなくなったところから息が漏れたり、舌がうまくあたらなくなって会話にも支障が出ます。さらに口元の見た目も悪くなります。歯の欠損は、健康で快適な生活を送る上で大きな障害となる疾患です(写真1)。

写真1 歯が欠損した状態

歯の欠損の検査・診断方法は?

歯の欠損の治療のはじめには、患者さんの口元の様子、残っている歯や歯ぐきの状態、使用中の義歯の状態、舌や頬(ほお)、口唇(こうしん)(くちびる)など周囲組織の状態、口を開閉する動きと顎関節(がくかんせつ)の状態などを観察します。

さらに、舌や口唇の動きや、どのくらいかめているのかといった、口腔機能に関する検査を行うこともあります。

簡単な型を取って石膏(せっこう)模型を作り、歯や歯ぐきの状態、かみ合わせの状態などをいろいろな方向から観察し、これらを総合的に診断して義歯の設計や歯科治療全般の治療計画を立てます。

また、近年はこれらの一部に口腔内スキャナやコンピューターシミュレーションを用いています。

歯の欠損の治療方法は?

義歯を用いた治療は歯科の中でも一般的ですが、治療難易度が高い患者さんには、通常の方法では対応しきれないことがあります。義歯の専門外来として、そしゃく科ではそうした方にも治療を行っています。

(写真2)はがんの手術によって口腔(こうくう)と鼻腔(びくう)が交通してしまった患者さんに対して製作した義歯で、治療にはより専門的な知識や技術が要求されます。

写真2 顎義歯による治療

義歯の欠点の一つに金属色による見た目の問題がありますが、(写真3)のような金属を用いない義歯もあります。近年はデジタル技術が歯科治療に盛んに応用されています。

写真3 ノンメタルクラスプデンチャーによる治療

(写真4)はデジタル技術を用いて義歯を製作している様子です。これはまだ一般的な治療方法に至ってはいませんが、当科ではいち早くこうした技術を導入し、臨床や研究に取り組んでいます。

写真4 デジタル設計した義歯の金属部分(左)と完成品(右)

歯の欠損の予防方法は?

歯の欠損が生じる原因には、口腔の清掃不良だけではなく、かみ合わせなどの力の制御不良も大きく影響します。

特に、いったん歯が欠損してしまうと、残っている歯にはこれまで以上のかむ力が加わります。さらに不適切な設計の義歯を使用していると、力の制御が不十分となり、残っている歯も失ってしまうリスクが高まります。また粘膜の痛みも生じやすくなります。

義歯治療の成功や口腔機能の維持には、力をコントロールすることが重要です。そしゃく科では、残された歯や機能が少しでも長く維持できるように、口腔衛生と力の制御のバランスを考えながら治療を行っています。

執筆者

そしゃく科 診療科長・教授 市川 哲雄
そしゃく科 講師 石田 雄一
そしゃく科 講師 渡邉 恵

※執筆者の所属・役職は書籍発刊時(2024年3月)のものです。

そしゃく科の特徴

診療科長・教授 市川 哲雄

※所属・役職は書籍発刊時(2024年3月)のものです。

特色

特に義歯に関して高い専門性を持つ治療を行っています。摂食や嚥下(えんげ)(飲み込み)、発音に問題がある患者さんへの歯科的対応、インプラントを用いた治療、最新のデジタル機器の導入や、新しい医療機器の開発や評価にも積極的に取り組んでいます。

従来の義歯用磁石(左)と新たに開発された超薄型の義歯用磁石(右)

主な対象疾患

歯の欠損、顎欠損、補綴装置(義歯やクラウン・ブリッジ)の不適合

また、それに起因する咀嚼障害、嚥下障害、発音障害、審美障害など

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