メニュー
口腔内科

Q35:口腔から健康長寿へ〜ドライマウスの原因・診断・治療

この記事の内容

ドライマウスとは?

ドライマウス(口腔乾燥症(こうくうかんそうしょう))は、さまざまな原因によって唾液の分泌が減少し、口の中(口腔)が乾燥する状態です。ドライマウスの原因は、①唾液腺自体の障害によるもの:シェーグレン症候群、頭頸部放射線治療の後遺症、加齢性変化など、②神経性あるいは薬物性のもの:ストレスなどの精神状態、抗不安薬、抗うつ薬、降圧薬、抗アレルギー薬などの薬剤、③全身性疾患によるもの:脱水、糖尿病、腎障害、貧血、心不全などに分類されます。

ドライマウスはどんな症状ですか?

健康な成人では、1日1~1.5mlの唾液が唾液腺(図1)から出ています。唾液腺からの唾液の分泌が減り、口の中が乾燥することで、口の中がヒリヒリする・ネバネバする、食べにくい・飲み込みにくい(摂食・嚥下(えんげ)障害(しょうがい))、話しにくい(会話障害)、味が分かりにくい(味覚障害)などの症状が現れます。

図1 唾液腺(耳下腺、顎下腺、舌下腺)

ドライマウスの状態が続くと、口の中の衛生状態が不良になり、むし歯の増加、歯周病の悪化、口腔カンジダ症、口臭などの症状もみられます(図2)。

図2 ドライマウスにより生じる症状

ドライマウスは口腔機能を低下させる一因です。口腔機能の低下は、栄養の偏りやエネルギー不足を招き、それにより筋力の低下や免疫力の低下が起こり、身体の衰弱へとつながります。

ライマウスの検査・診断方法は?

ガムテスト(ガムを10分間かんで出てきた唾液の量を測定)もしくはサクソンテスト(ガーゼを2分間かんで出てきた唾液の量を測定)で唾液分泌量を測定し、基準値(ガムテスト : 10分間で10ml、サクソンテスト : 2分間で2g)を下回っていればドライマウスと診断されます。

ドライマウスの原因を調べるために、血液検査や唾液腺の機能検査を行います。

自己免疫疾患であるシェーグレン症候群が疑われる場合は、下唇から口唇腺(こうしんせん)を採取し、病理組織検査を行います。

ドライマウスの治療方法は?

ドライマウスの原因が全身性疾患による場合(脱水、糖尿病、貧血など)は、原因となっている病気の治療により改善します。

神経性あるいは薬物性の場合は、ストレスをなるべく和らげるようにし、主治医に薬物の変更や減薬ができるかを相談します。

シェーグレン症候群、加齢による変化など唾液腺自体が障害を受けている場合は、現在のところ根本的な治療法はありません。しかし、早いうちに適切に対処すれば、残っている唾液腺の働きを促すことができます。

ドライマウスの治療薬として、唾液分泌促進薬、漢方薬、人工唾液などがあります。また、唾液腺は刺激を与えて唾液分泌を促すことで機能がある程度回復するといわれていますので、セルフケアが大切です。

唾液分泌を促すような食べ物(梅干し、レモン、酢の物など)を積極的にとることや、唾液腺マッサージや市販の口腔用保湿剤も効果的です。

そして、起こりやすくなっているむし歯や歯周病などを予防するために、毎日の口腔ケアがとても重要です。

ドライマウスの予防方法は?

ドライマウスにはこれといった予防方法はありませんが、規則正しい生活を送り、ストレスをためないことが大切です。

口の乾きを治療せず放置することで、唾液腺の機能は少しずつ低下し、唾液量はますます減っていきます。早期の診断と適切な対処が重要ですので、口の乾きを感じたら専門科を受診してください(写真)。

写真 口腔内科での診察風景

執筆者

口腔内科 診療科長・准教授 青田 桂子

※執筆者の所属・役職は書籍発刊時(2024年3月)のものです。

口腔内科の特徴

診療科長・准教授 青田 桂子

※所属・役職は書籍発刊時(2024年3月)のものです。

特色

口腔内科は、口腔疾患ならびに全身疾患に付随する口腔症状・口腔病変の診断・治療を行う診療科です。

従来の口腔外科治療に加え、外科的アプローチのみで対応できない口腔疾患(ドライマウス、口腔粘膜疾患、舌痛症など)の診断・治療に内科的アプローチを併用することで、より質の高い医療を提供しています。

また、入院患者さんの周術期口腔機能管理(口腔ケア)を行い、術後肺炎や創部感染など口腔微生物が原因となる合併症の予防にも力を入れています。

主な対象疾患

口腔粘膜疾患(口腔扁平苔癬(たいせん)、白板症、口腔カンジダ症など)・口腔炎症性疾患・口腔嚢胞性疾患・口腔腫瘍性疾患・唾液腺疾患(ドライマウスなど)・神経疾患(非定型顎顔面痛など)・口腔心身症(舌痛症など)・味覚障害・周術期口腔機能管理など

参考URL

この記事をシェアする
この記事の内容