糖尿病患者の増加に伴い、その合併症である末梢神経(まっしょうしんけい)障害や、下肢(かし)の動脈硬化・血流障害から足に潰瘍や壊疽(えそ)(皮膚から皮下組織までの細胞が死滅してしまうこと)を発生する患者さんが増加しています。このような足の傷を放置しておくと膝(ひざ)の上下での切断になることもあります。治療は難しく、血管の治療、創部の治療、糖尿病の治療などを要し、形成外科、心臓血管外科、循環器内科、内分泌・代謝内科などの多くの関連部署との連携が必要です。
当院では足の切断を避けるため、当センターを立ち上げ、各科合同で治療計画を立てながら治療を進めています。カテーテルによる血管内治療と通常のバイパス術に加えて形成外科でマイクロサージャリー(顕微鏡下手術)の技術を用いて足の細い動脈へのバイパス術を行っており、下肢の治療に取り組んでいます。
そのほか微細な血管の再生を促す遺伝子治療や、老廃物を血液内より濾過(ろか)するLDLアフェレーシスなどの最先端の治療を組み合わせ、可能な限り足が残るように治療を進めています。
糖尿病性足潰瘍では足の変形が生じることがありますが、そのような足に対しては免荷手術という変形を修正する手術も行っています。